経済的に成功したアーティストは「不誠実」なのか?

(2007/05/14)

CNETの読者ブログ「アート資本主義」のtakahito氏が、アーティストはなぜ貧乏なのかという記事を書かれている。アートとしての誠実さと金儲けというテーマはずっと昔から議論されていて、人によっても、多種多様な意見が出てくるトピックと思う。

『本来、アーティストは絵筆やタブローについて思考するべきではなく、「世界(あるいは世界観)」について洞察すべき存在であると考えます。
その場合、少なくとも現代社会を生きる人々に何かをメッセージするうえで、「経済」や「経済活動」をオミットして「注意深く世界を洞察する」なんてことは、非常に難しいのではないか?と思うのです。』

私も、takahito氏の書かれている意見には同感。「経済や経済活動をオミットして注意深く世界を洞察するなんてことは、非常に難しい」と思う。しかし、経済や経済活動をオミットすることを良しとする考え方も、とくに映画業界や音楽業界などでは、大切なポリシーとしてとらえる人も少なからずいるというのも事実と思う。

私の知人の知り合いに、プロのミュージシャンがいる。知人いわく、その方を指して、「あの人は自分のポリシーを頑なに貫いているから、あいかわらず貧乏なままやっている」と言っていた。
その話を聞いたのはだいぶ以前のことだが、いまの私は、微妙なひっかかりというか、なんとも出口の見えない違和感を感じている。
「自らのポリシーに誠実なアーティストは必ず貧乏」であり、「市場(マーケット)の嗜好にばかり媚びるアーティストだけが、金銭的に豊かになりおいしい思いをしている」――この命題は、完全に「真(しん)」なのだろうか?おそらく、白黒はハッキリつけられないと思う。なぜなら、「市場の嗜好にばかり媚びる」アーティストでも貧乏なままの人も普通にいるだろうし、「自らのポリシーに誠実であり、かつ、経 済的にも成功しているアーティスト」だって、決して多くはないけど、私も何人か知っている。

たとえば、U2のボノは、シリコンバレーの投資会社エレベーション・パートナーズに出資したことで、一部の音楽ファンからは激しい批判の的になったらしい。アーティストというと、経済や資本主義からは隔絶していればしているほど誠実と思われる風潮は今でも根強いけれど、企業活動や株式市場での資本の動きは、我々の日常生活、しいては思考や感性に強く影響してくるようになった。その世界をあえて無視しながら、リアルな世相を切り取って作品を作り続けることは難しいだろう。

アーティストも株価収益率やTOBといった用語を知っている必要があるとか、株の売買を経験するべきだ、とか、そういうくだらない話を主張したいわけではない。そうではなくて、好む好まない関わらず 、「資本主義」というものに強く影響される社会の現状を、「空気」としてカラダで感じられなければ、リアリティのある作品を生み出すことは至難のワザではないかと思うんだ。

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