(2012/06/12)
「インデックス投資を続けていくべきかどうか・・・?」
数年前のリーマンショック、そして今回の深刻なユーロ問題をリアルタイムで経験したことから、このような迷いを抱いている個人投資家は多いんじゃないだろうか。投資家の不安心理でジェットコースターのように激しく乱高下する株価、逃避資金がパニック的に集中し、異常なほど低下した米国、日本、ドイツの金利・・・。このような不安定な経済情勢の中で、株式ETFなどの金融商品を保有していると、自分の資産がまるまる溶けてしまうのではないか?という恐怖にもとらわれる(^^;
もしかしたら、今後、いま以上に市場は暴落するかもしれない。
では、インデックス投資は今すぐやめて、ポジションを手じまうべきなのだろうか?
個人的な見解としての結論を述べると。
私個人のことについて言うと、投資の勉強にまとまった時間を取ることのできない状況にある限りは、好む好まないとに関わらず、インデックス投資を続けていかざるを得ないのかな、と感じている。
より正確に言うと・・・
世の中の経済情勢を正確に理解し、特定のセクターの資産価格の変動を的確に予測する能力が自分に備わっていないのであれば、自分が持つ資産の一定割合は、インデックスに投資しておく必要があるのではないだろうか。
過去の数年間に、ユーロや外国株式へ投資していた投資家は、当たり前だが、元本を毀損することになった。その結果を見て、次のような指摘をされる方も散見される。
「ほら見ろ。俺の言った通りだろう?外貨建て資産なんか、買うものじゃないよ。「インデックス投資」なんてせずに、日本円で預金しておくのが一番賢い投資戦略なんだよ」
この指摘は、過去数年の各資産の動向を見る限りであれば、まったくもって正しい。
私も含め、EFAやVWOなどの海外ETFを保有することで「インデックス投資」を実践していた投資家は、過去数年の間に資産を減らしたケースが多いだろう。逆に、資産のすべてを日本円での預金、もしくは日本国債として保有していた人は、結果として、過去数年のリターンがプラスとなったことは、まぎれもない事実だ。
ただ、「後づけなら何でも言える」ということも覚えておいがほうがよいだろう。
私は2008年以降の過去数年の経済情勢を正確に予測できたよ、と言い張る人がいるのであれば、理論的にその人は、同時発生的に起こった以下の事象をすべて予測できたことになるのではないだろうか。
これらの事象を正確に予知できたのであれば、ユーロ圏の企業の株式や、通貨としてのユーロや米ドルを空売りしていたはずだ。もしくは、実際に資金を投じなくても、同様の投資戦略を強く主張していなければおかしい。経済情勢や市場動向を正確に予測できるのであれば、価値が上昇する資産も的確に見分けられられるはずだ。
実際問題として、複雑な未来をそこまで正確に予知できる人間が、そんなに大勢いるんだろうか?
実情としては、たまたま日本で生まれ育ったから、自らの資産のほとんどを日本円の預金で保有(=日本円に集中投資)しており、その資産の価値が「たまたま偶然に」上がったという人がほとんどだろう。
当たり前のことだけど、過去数年間に最も高いリターンを上げたからといって、その投資戦略が、未来永劫、最適なものであるとは限らない。そして、特定の資産に集中投資する場合、その資産の価値が上がっているときのリターンは大きいが、相場が逆の方向に振れた時の損失も大きくなるだろう。
日本円について言えば、将来的に日本の財政状況が想定以上のスピードで悪化した場合、極端な円安に振れる可能性もゼロではない。その時、日本円の現預金や日本国債に「集中投資」している投資家は、大きな損失をこうむることになる。
少なくとも自分は、日本円にしろ外貨にしろ、日本株にしろ外国株にしろ、特定の資産の価格がこれからどうなるか?を予測できるだけの見識はないし、それぞれのアセットの研究に充てる十分な時間もない(本気で経済を勉強するためには、多くの時間を投資する必要があるだろうと思う)
WATANKOさんがブログ記事評価損益の推移-これでもインデックス投資やりますか?で指摘されているように、「インデックス投資は他の手法に比べれば比較的無難な投資方法かもしれませんが、それと儲かることとは別の話」なのは事実だ。しかし、特定の資産に集中投資して相場が意に反して暴落した場合の損失をカバーするだけの資金力も能力も自分に無い以上、少なくとも自分に限って言えば、インデックス投資を続けざるを得ない、と個人的には考えている。
<スポンサーリンク>
水瀬ケンイチ氏のエントリー記事株高で浮かれる世の中、浮かれず淡々としているインデックス投資家たちを拝読して、感慨深い思いがした。インデックス投資家として著名な水瀬氏は、...
« | このブログのトップへ戻る |
»
※このブログは個人の情報収集を目的として運営されているものであり、投資アドバイスや特定の金融商品の購入を推奨する意図はありません。その内容から生じるいかなる損失に対しても責任は負いかねます。投資は自己責任でお願いします。