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「有事のドル買い」は通用しなくなっている!?―有事発生時の為替相場の動き

「有事のドル買い」という用語(?)は、すっかり市民権を定着しているように思えた。9.11同時多発テロや北朝鮮ミサイル発射など、国際金融システムにダメージを及ぼしそうな「有事」が起こった時には、とりあえず米ドルを買っておけば安心・・・というのがそのココロ。自分も、この言い回しは今でも当たり前のように通用する為替の法則と思っていたが、田中泰輔氏が楽天証券のサイトに連載中のコラム為替透視鏡によれば、ドル買いが必ずしも最善の策とは言えなくなっているらしい。

田中氏によれば、「有事のドル買い」ルールが成り立っていたのは、米国が対外債権国であり、「しかもドルがほぼ唯一の国際流動性であった」古きよき時代とのこと。しかし今の米国は、外国に金を貸すどころか、逆に多額の借金をしている対外債務国だ。

『このため、有事に国際金融の機能が滞ると、資金繰りに窮してドルは下落しやすい。またドルは今も基軸通貨ながら、他の主要通貨も国際流動性としてある程度通用可能である。』

有事のときに強い信頼を得て買われる傾向が強いのは、対外債権国の通貨。つまり、借金しなくても資金繰りには困らなそうな国の通貨だ。従って、最近の有事では、ドルよりも、スイス・フラン、ユーロ、円、ノルウェー・クローネなど、主要な対外債権国通貨が買われるケースが多くなっているそうだ。

『特に軍事支出で米国の財政赤字の増大が危惧されるケースや、中東の有事で原油高が米国経済に悪影響を及ぼすと懸念されるケースなどに、これら通貨に対してドルは劣勢になりがちだ。』

この傾向は、田中氏がコラムの中で例示している「9.11テロ・ショック直後の通貨の反応」のグラフを見ると、私のようなズブの素人にも(笑)一目瞭然。反応率がダントツでプラスに振れているのがスイス・フランで、次いで、円。そしてなんと、ユーロや米ドルは、マイナス方向に振れているのだ。9.11テロが起きた当時は、「ドル安になったのは米国本土が攻撃されたからだ」といった論調の記事も頻繁に見かけた記憶があるけど、ドル安の要因は、よりファンダメンタルな部分にもあったのだ・・・というのが、新鮮な驚き。

ちなみに、ブログ「Espresso Diary@信州松本」さんは、一昨年にイラン情勢が緊迫した際に、資源やドル以外の通貨が買われた「有事のドル安」の目撃談を書いている。

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