『敗者のゲーム』を無視したくなる衝動――なぜ、インデックスに勝てると思うのか?

(2007/05/25)

『敗者のゲーム なぜ資産運用に勝てないのか』は、私のような素人でも分かりやすく読める投資の本だ。バンガードの顧問も務める投資アドバイザー、チャールズ・エリスによるこの古典的名著には、とくに自分のような個人投資家が陥りがちな「うぬぼれ」を戒める一生ものの教訓、「実はいちばん正解なんだけど、たぶんほとんどの人が受け入れられない事実」がしたためられている。

投資銀行は、莫大な資金を投資してありとあらゆる情報を世界中から集める。猛勉強してMBAを取り、過酷な競争に勝ち残ってきた優秀な人たちが、夜も眠らず土日も関係なく調査し、分析する。精神安定剤を飲みながら(笑)、投資判断を下す。ゴールドマン・サックスやリーマン・ブラザーズなどの大手はもちろん、中堅どころや海外の証券会社だって、同じくらい必死だ。その死に物狂いの努力の集大成が、インデックス、つまり市場平均となる。だとすれば、その指標に自分が勝てると思うこと自体、ちょっと無理がないかい?―乱暴に要約してしまうと、チャールズ・エリスがこの本を通して提起したかったのは、そういう話と理解している。

もうひとつ、チャールズ・エリス氏の重要なメッセージは、「マーケット・タイミングを予測できるなんて、考えるだけ損だからやめておいたほうがいいよ」ということ。
その理由は明快だ。過去の数十年間のスパンでS&P500指数の指数を見ると、株価が急激に上昇したのは、ほんの数日間のこと。もし、その「ほんの数日」を逃したら、株式市場への辛抱強い長期投資も、ほとんど意味をなさなくなってしまう。針の穴を通すようなタイミングを言い当てるなんて、ほとんど不可能。資産運用で長期のリターンを得たいのであれば、株は手放さないで持っているほかない、というわけだ。

そうなんだよな、マーケット・タイミングは読んじゃいけないんだよな・・・。いずれの教訓も、理論として理路整然としていて、まったく間違っていないと思う。頭では分かっているんだけど、でも、「それでも、自分はアクティブ投資で、もっと稼げるかも」と思ってしまうんだな、これが・・・(^ ^;

インデックス・ファンドへの長期投資が最も割の良い投資であることは、現代ポートフォリオ理論の中で、数学的には証明されてしまっている。じゃあ、世界中の皆がインデックス・ファンドに投資するはずなのに、アクティブ・ファンドがまだたくさん存在するのはなぜ?
ブログ『金融日記』の藤沢氏は、「不道徳なインデックス・ファンド」というエントリーで、まさしくこの問題について明晰に説明してくれている。

『なぜなら、人間は途方もないオーバー・コンフィデンス・バイアスを持っているからです。90%以上のひとが自分は平均よりも優秀だと思っているので、実際は平均程度のひとも市場を打ち負かそうとコストを省みず果敢に挑戦し続けるからです。そして、市場のさらなる効率化に自らのコストを払って貢献するのです。』

「オーバー・コンフィデンス・バイアス」というのは、「うぬぼれ」という意味と解釈してよいんじゃないか。まさしく、人間の性(サガ)ですな・・・。

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